石巻市でキコリ講座開催
平成25年度は宮城県石巻市皿貝の観音寺にてキコリ講座を開催します。ここ観音寺では「手あわせ桜プロジェクト」として震災被災者の数の桜を植樹して、お寺の山に鎮魂の桜の森づくりを進めています。このプロジェクトの一環として、山の裏側の杉林を会場に「キコリ講座」を行いながら鎮魂の桜の森にふさわしい山を作っていきます。
お寺の山は地元の方々の大事な山です。また、石巻市は震災で大きな被害のあった土地です。地元の人達に副業型自伐林業を身につけてもらって少しでも地域を元気にしたい、と桜和尚の働きかけによりこの「キコリ講座」が実現しました。ここから巣立つ”きこり”が地元の山を元気にするキーパーソンとなるようキコリ講座を進めていきます。
多くの方の力と思いで進められている「手あわせ桜プロジェクト」についてはこちらからご覧下さい。
キコリ講座in石巻フォローアップ開催
①作業道作り講習
平成25年12月14日(土)15日(土)にフォローアップとして作業道作り講習を開催しました。ベテラン林業家の橋本氏とNPO法人土佐の森・救援隊の坂本氏を講師に迎えて更に作業道作りの実技を行いました。
東北全体が大雪となったこの日はあまり雪の降らない石巻市でも雪景色となりました。雪のちらつく中、6名の参加者と2名の見学者が熱心に橋本氏の指導もと交代しながら作業道を少しずつ作って行きました。自在にバックホーを操れる橋本氏のようにはいかないながらも参加者は真剣に操作し、他の人が操作している時は声をかけてアドバイスし合い、道を作る場所の木の伐採ではチームのようになってスムーズに行い、全員が講習に集中しました。
1日目は観音寺の本堂にお邪魔してお昼休憩をとりました。見学に来た大学生2名は、大学では学べない現場の情報満載のNPO法人土佐の森・救援隊や橋本氏の資料を夢中になって読んでいました。観音寺のそばに住む参加者は自分のバックホーにグラップルを自分で作って登場しました。廃材を利用して休日に作った力作に参加者も講師も興味津々で盛り上がりました。自伐林業はこのように自分で工夫して道具を作れるのも魅力です。
2日目は雪が積もっていたので御膳中は森作りについての座学をしました。今度の会場は観音寺近くの神社の社務所です。なぜ、作業道が必要か、どうすれば自伐林業を初めて続けていけるか、豊かな森が作れるか、重要な内容ばかりで参加者は熱心にメモを取っていました。お話を聞くかたわらでは自伐林業を始める予定の参加者が山の位置を説明しながらアドバイスを貰いました。
午後からは日が射したり雪が降ったりの中でしたが全員でバックホーに乗り道作りに集中しました。「バックホーに使われたらあかん。今度までに操作を練習してきて悩まずに動かせるようになって来てな。」と橋本氏から次回までの宿題が出て終了しました。参加者の皆様、寒い中ありがとうございました。
次回は平成26年1月18日(土)19日(日)に開催します。
キコリ講座in石巻
①チェーンソー講習
平成25年7月13日、14日に林業安全管理指導専門家の安部拓氏を講師に迎えてチェーンソー講習を行いました。
1日目の座学は午前は観音寺本堂、午後はすぐ近くの日孁(ひるめ)神社の社務所で行いました。テキストやDVD、実物を使っての阿部講師の熱心な講義に参加者全員が真剣に聞き入っていました。畳の上でチェーンソーの講習とは不思議な光景ですが、仏様と神様に見守られた心強いスタートとなりました。
2日目は観音寺の裏山で実技の講習を行いました。まずチェーンソーの扱い方から手入れ方法の講義を受け、次に実際に一人一人がチェーンソーで木を伐採しました。経験豊かな安部講師の技術に見入りながら一つも聞き逃すまいと真剣に受講しました。
今回の参加者は「自分の山を自分で手入れしたい」「漁業、農業だけでなく林業も復興しなきゃ」と山への思いが強い方ばかりで半数はマイチェーンソー、マイ腰道具を持参してきました。安部講師も一人一人に丁寧に指導をして中身の濃い充実したチェーンソー講習となりました。
②軽架線講習
平成25年8月24日、25日にNPO法人土佐の森・救援隊の中嶋事務局長らを講師に迎えて第2回目として軽架線講習を行いました。
始めに観音寺の本堂にて1時間ほど座学を行った後すぐに裏山へ行って実践開始です。伐倒方法のおさらいをしながらロープの使い方、出荷のための木材の採材の仕方も学んで参加者がどんどん木を切り倒していきました。
伐倒が進んだ後に切った木材を運び出す軽架線を使う方法を実際に作業しながら学びました。木々の間にワイヤーを渡して木材をウィンチで巻き上げて運ぶ方法です。この軽架線は滑車の使い方がポイントです。全員が組み立てながら構造を覚えていきました。木にワイヤーを巻いてウィンチで運びます。
参加者が伐った木材がどんどん搬出されて積み上げられていきました。第1回目のチェーンソー講習の後に早速自分の山で学んだ技術を実践した参加者は「どうやって運ぼうか」と考えていた時のこの軽架線講習です。簡易な装備で木材があっという間に搬出されるのを自分たちの手で実践しながら驚いて「これなら楽に運べる」「自分で作れるかもしれない」と技術習得に最後まで熱心でした。終了の際には中嶋講師から「林業は誰にでも出来る」と心強い話もあり充実した軽架線講習となりました。
次回は9月に木材を運び出すための作業道作り講習を行います。
③作業道作り講習
平成25年9月21日22日に徳島県の自伐林家橋本光治氏を講師に迎えて山の中での作業道作りの講習を行いました。まず21日の午前中に日孁神社の社務所で道づくり森づくりについて豊かな経験に基づいた座学講習を受けました。そして午後から観音寺の裏山でバックフォーを使って実技講習を受けました。初めてバックフォーに乗る参加者は右、左のレバー操作に四苦八苦しながらも道づくりの極意を学んでいきました。
21日の夜には、また日孁神社の社務所をお借りして懇親会を楽しく行いました。橋本氏に加えてNPO法人土佐の森・救援隊の中嶋事務局長が自伐林業について詳しく話して、参加者が自己紹介をして今後の石巻市の林業について熱く語り合いました。
22日はまた実技講習を行いました。木組みによる法面の補強の仕方、作業道を入れる場所の見極め方、作り方を橋本氏の実演を見入りながら参加者も実際にバックフォーに乗って少しずつ道を作りました。自伐林業は、大型の林業機械ではなく小型のバックフォーと2tトラックが通るための約2m幅の道があれば充分です。この方法ならば雨で道が崩れる事もなく長く使い続けられ自然環境への負荷も少なく美しい森づくりができます。
30数年の経験を持ち環境に配慮した豊かな森を作り続けてきた橋本氏は「先祖からの大事な山を自分で手入れしたい。」「山を整備して収入を得て被災した地元を元気にしたい」と語る参加者に応えて、2日間の熱のこもった充実した講義となりました。
今後は参加者の地元の山での確実な実践を目指し、ステップアップ講座をします。